サン・ピエール教会-神秘的な光の戯れる教会-

【設計】 ル・コルビュジエ
【所在地】29 Rue des Noyers, 42700 Firminy, フランス[地図]
【用途】 教会
【構造】 RC造
【竣工】 2006年

帽子ともきのことも見えるようなコンクリートの外観に煙突のような突起が飛び出している教会には見えないこの建築は、設計者であるコルビュジエの死から41経って完成しました。

コルビュジエの死後設計を引き継いだのは、コルビュジエ生前から計画に参画していたジョゼ・ウブルリーです。

このサン・ピエール教会はフィルミニ・ヴェールと呼ばれる都市計画の一部です。フィルミニという街は産業革命によって多くの工場が生まれ、大勢の労働者たちが暮らす街に発展しました。その後戦後の復興開発として計画されたのがフィルミニ・ヴェールになります。その計画の一環としてコルビュジエは文化施設・スポーツ施設・教会・集合住宅の設計を行いました。

その設計の中で、このサン・ピエール教会はコルビュジエによる唯一の21世紀の建築と呼ばれ話題を集めています。もともとは1964年に竣工の予定でしたが、地盤が不安定な敷地であったために着工自体が遅れ、土台を作ったところでオイルショックにより工事は中断。その後25年放置され、2000年代に入り教会を寄贈されたサンテティエンヌ・メトロポール(都市圏共同体)によって工事が再開し、2006年にようやく完成に至りました。

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教会としてユニークな点は装飾の有無のみならず、平面形にも表れています。一般的には象徴性を高めるために長方形や十字架の平面形状をとりますが、ここではほぼ正方形に近い四角形となっています。ここはフィルミニに暮らす職人たちのための教会であり、街の人々と彼ら労働者を結ぶ場であると、教区からの依頼があったそうです。奥行きがなく仕上げはRCの打ちっぱなしのため吸音されず残響が長く続きますが、合唱などでは迫力のある体験ができるそうです。

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内部には様々な光の遊びを楽しむことができます。コンクリートの壁面に穿たれた小さい穴からは夜空に瞬く星々のような光となり、スリット状に設けられた明かり取りからは、断面小口を着色されていることによって赤・青・黄の色を帯びた光が入り込みます。

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礼拝堂へと至る建築的プロムナード