サヴォワ邸-近代建築の5原則を体現した住むための機械-

【設計】 ル・コルビュジエ
【所在地】82 Rue de Villiers, 78300 Poissy, フランス[地図]
【用途】 住宅
【構造】 RC造
【竣工】 1931年

住宅は住むための機械である

「住宅は住むための機械である」とはコルビュジエの有名な言葉です。言葉だけで聞くと冷たい印象ですが、水に浮かぶ機能のない船は船ではないように、そこに暮らすに人にとって十分な機能のない住宅は住宅ではないということを言っているのではないでしょうか。伝統的な住宅はどれも同じ平面・立面を持っており画一した生活スタイルを余儀なくされ、接地した建物が並ぶために暗く、風通しが悪いため地下の物置は常にジメジメとして疾病が発生しやすいなど衛生面でも問題がありました。そんな伝統や構造体・疾病などの病気から解放されるための処方箋として「近代建築の5原則」を提唱し、それを忠実に表現したのがこのサヴォワ邸です。

近代建築の5原則

1.ピロティ:建築を地面から解放し、交通と植物、運動のための場に
2.屋上庭園:日の当たる屋上を解放し、日光浴や植物のための場に
3.自由な平面:構造上必要な壁から建築を解放し、自由に間仕切りをつくる
4.連続水平窓:自由に大きな窓をつくることで室内に光をふんだんに取り込む
5.自由なファサード:構造に縛られない好きなデザインにする

ピロティ

柱によって建築は持ち上げられて、持ち上げられた建築の下部空間は自動車で乗り付けそのまま自動車を雨や日差しから守るスペースになっています。

2階居間

居間は水平に切り取られた窓から室内に均一に光を取り込みます。壁と壁の間に窓をはめ込んでいた組積造ではできない建築表現でした。

2階テラス
屋上庭園

屋上庭園には光が降り注ぎ、所々に植物が植えられています。

屋上庭園へ上がるスロープ

コルビュジエは建築を構成する主要素をスラブ・柱・そしてそれらをつなぐ階段の3つであるとする「ドミノシステム」を提唱し、組積造からの脱却を図りました。ここではスラブとスラブをつなぐものとして階段の他にスロープが設けられ、1階サービスフロアから2階の居住フロア、そして屋上庭園へと来訪者を導いてゆきます。

キッチン
バスルーム
サヴォワ邸の模型

DATA

【アクセス】ポワシー駅から徒歩約15〜20分
【開館時間】10:00~17:00(5/2〜8/31は18:00まで)
【休館日】 月曜日・5/1、11/1、11/11、12/25~1/1
【入館料】 一般:8ユーロ(18歳未満は無料)
※2019年1/1時点での情報です。
公式HP